『こころを満たす仏像うつし描き』が世に出るまでのおはなし 第1回

    昨年の8月のある日、日本ヴォーグ社の森岡圭介さんとお茶をしていた時のことでした。
    何気なく「最近仏画を習い始めたんですよ」とiPhoneで写した写仏の画像を開いてお見せしたのです。
「お顔が綺麗でしょう? 小さくて見えるかな」と拡大していたら、
「曽我部さん、仏画の本を作ろうよ。企画書書いて」と森岡さん。
   わずか数分の出来事。急展開です。
そこからすべてが始まりました。
    私の「仏画を習い始めた」という言葉と、小さなiPhoneの画像だけで、「本を作ろう」というインスピレーションが立ち昇ってくるのは、まさに、編集者魂。企画が生まれる瞬間、ワクワクしました。
    私はすぐに企画書を書き上げて、森岡さんに提出。森岡さんが営業を通し、社長からゴーをいただくまで、ほんのわずかな日数でした。
    企画が通ってからは、森岡さんと打ち合わせしながら、ページネーションを考えました。参考に類似本もたくさん取り寄せました。
    クリアファイルに原稿のダミーをつけ木島先生の画のコピーとあわせて、一冊の本になるように、構成案を練りました。実はこの作業が一番楽しくありました。
    全96ページの本を4色印刷と2色(または1色)ページの折を台割していく作業はどこか編み物に似ているかもしれません。
    自分の頭の中で構築していることを、ページネーションとクリアファイルに落として組み立てていく。そういう作業に自分は向いている気がします。数学はからきし苦手だけれど、こういう作業はどんな資質なのかな?
    この時点で、木島先生の作品は1/3くらいでしたので、先生の昔の作品をコピーしたり、また別の資料からコピーをしたりして、いわゆるダミーを作りました。
    全体の構成が見えたところで、森岡さんが担当してくださるデザイン事務所を決めてくださいました。
    私が現在もライターとして関わっている『手づくり手帖』のデザインをされている「なかよし図工室」の成澤ご夫妻です。ご夫妻のデザインは格調高く、美しく、以前からファンでしたので、引き受けてくださり、とても嬉しく思いました。
    数日して、デザイナーとの打ち合わせの日程が決まりました。この時点では、先生の絵も私のメインのコピーも揃っていました。先生も急ピッチで菩薩様19尊を描きあげてくださいました。
    クリアファイルのダミーを森岡さん、木島先生、成澤ご夫妻の分を作って、打ち合わせにのぞみました。お話はつづきます。
これからもっとクリエイティブになっていきます。
追記
   森岡さんと私とのつきあいはかれこれ30年。私がフリーランスのライターになった時、憧れの『毛糸だま』というクリエイティブな雑誌にライターとして売り込みに行った際の副編集長をしておられたのが森岡さん。以来、お仕事を発注していただくようになったのです。
    まさに、フリーライターとしての育ての親みたいな存在です。
   森岡さんは提出した原稿に対して、まずは、良いところを評価してくれて、その上で直しのポイントを教えてくださるので、とてもありがたかったです。人に対しての誠実さ、思いやりのある方で、ライターとしての滑りだした私は幸運な出会いでした。

『こころを満たす仏像うつし描き』の世界へようこそ Tracing Buddhist Paintings

Tracing Buddhist Paintings for Mindfulness こころを満たす仏像うつし描き 菩薩篇 木島昌利 画 / 曽我部ゆかり 文 日本ヴォーグ社刊 1,296円 全国書店 アマゾンetc. にて販売中です。

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